高校を卒業する生徒におすすめする本
先生が生徒に本を推薦する機会が結構ある。
それは学校の図書だよりだったり、学年だよりだったり そんなとき各先生はかならず何かおすすめしなければならない。 たとえ本を全く読まないような先生でもである。
そんなときは先生、生徒ともに不幸だ。 先生側は別にすすめる気もない本を紹介し、その推薦文を生徒が読む。いっそ私は本をあまり読まないのですすめる本がありませんといえばいいのに(絶対いえないけどね)
他にも、勧める本ではなく自分の好きな本を紹介する人もいる。
人に本をすすめることは難しい。 自分が心がけているのは、おすすめを聞いてきた子に直接話せる場合、君はどんな本を読んできて、その中でよかった本はなにか聞くことだ。 そして、それを踏まえたうえでおすすめする本を決める。
普段あんまり本を読んでいない子に対して、いい本だからといっていきなりカラマーゾフの兄弟なんかをすすめるのはどうかと思う。
そもそも、本って読むもの全部があたりではない。(その人にとって)
たくさん微妙な本を読んだ中に、その時の自分にフィットする本が現れる。 そして、その微妙な本を重ねることによってこそよりフィットが強調される。 つまりある程度読まないと行けないのだ。
けど、読まないと行けないのだ。なんて考えながら本を読んでいたら全く面白くないし難しいところだ。
一番やっぱり大切なのは本を読むことが面白くなくてはいけない。 勉強ではないのだ。 テレビやゲーム、スマホや、スノボみたいに趣味であるはずだ。
いろいろ愚痴になっているが、センセーもやっぱり何か本を勧めないといけない。
さらに、たくさんの生徒に向けて発するメッセージなので相手の状況もそれぞれである。 そんなときおすすめするのは伊坂幸太郎さんの「砂漠」だ。
もし推薦文を書くならこんな感じ、
本を読むと書いた人の考えが、物語ならばその登場人物が、自分の脳内にすみつく。
そして、何かを考えるとき、何かを選ぶときに、こいつらががやがや口を出す。ピンチになったときはドラえもんがぼやく声が聞こえるし、左右どちらか選ぶときはクラピカが右を進めてくる。
自分の場合、何か迷ったときに必ず出てくるのが「砂漠」の西嶋だ。高校を卒業すると自由がたくさん増えますが、自分が何かをしかけないと何も起こりません。
やろうかやらまいか迷ったとき、多少乱暴に背中を押してくれる西島をみんなの脳内にお薦めします。